○2008年10月29日 
 株式会社ザメディアジョン   
  代表取締役社長 山近義幸様 

 お忙しい中、予定の時間を大幅に超えてインタビューに応じてくださった山近義幸株式会社ザメディアジョン社長。山近社長は毎年10,000人の学生に会い、1,000人の経営者・人事担当者と会っており、「内定の達人」と呼ばれている。そんな人だからこそ持つ、今の日本の学生と企業に対する想いとは。

 <潟Uメディアジョンのビジネス>

 株式会社ザメディアジョ ンには2本の柱があり、一つが地域メディア(タウン情報誌(月刊タウン情報やまぐち、広島・山口グルメガイド)の発刊や編集プロダクション業務)を軸とす るメディアマーケティング事業で、もう一つは企業の新卒採用のアドバイザリー業務を行う人財マーケティング事業(人事.com、経営サポートなど)である。

 メディアマーケティング 事業においては、メディアミックスでの媒体創出を得意としており、民放局とタイアップ企画を多く生み出したり、新聞社とのメディアミックスとしてシティー ケーブル周南との提携で、月刊まるごと周南を発刊したり、また中国新聞のキャラクター「ちゅーピー」を扱った絵本やグッズを制作・販売したりしている。

 今 回、重きを置いて取材させていただいた人財マーケティング事業は、新卒採用のアドバイザリー業務だが、企業の新卒採用をサポートする上で山近社長が意識し ていらっしゃる事は「社会の厳しさ、泥臭さ、理不尽さ。そういったものを正面から学生に伝えていくこと」だそうだ。「学生時代の就職活動は鍵穴から世界を 覗いているようなもの」と山近社長はおっしゃる。確かに、世の中に300〜400万あると言われる企業の中から、私たち学生が知ることのできる企業はそう 多くない。しかも、少ない中から選び出し就職した挙句、3年以内に約36%が離職してしまう。これは私たちが企業のいいところにしか目が向いておらず、ま た現実の仕事がどのように進められるかを理解できてないからだろう。「だからこそ、仕事の泥臭いところ、格好悪いところを飾らずに見せ、学生が企業の良い 部分だけにとらわれない就職活動ができる環境を作らなければならない」と考え、日々の業務に当たっていらっしゃるそうだ。

 <ポイントは「成長感」と「存在感」>

 今 はインターネットや多くの書籍などを通じて様々な就職活動情報にアクセスできる。そのため、私たちも世の中にある様々な会社を知ることができる。しかしそ の反面、多すぎる情報を処理できず、各企業のイメージしか掴めていなかったり、逆に細かい部分に気を取られたりして、実務を知らない就職活動をしている学 生も多いように私は感じている。山近社長もそういった情報に埋没している学生が多いと感じていらっしゃるようだ。例えば、面接中に自分の人生観を語る学生 がいるそうだが、そういった学生に対して「僕はすごく違和感を覚える。そもそも人生観というのは仕事の経験が積み重なって形成されていくものだ」。そうい うことを言ってしまう学生というのはきっと就職関連のマニュアル本の通りに面接に臨んでいるのかもしれない。

 では、こういった情報が 氾濫している時代において私たちはどういったポイントを押さえて会社を選ぶべきなのか。「それは自分の成長感と存在感を感じられる会社だ。教育体制が整い すぎて、何でも教えてもらえる会社では、教えられるところまでしか成長できない。また、1000人の中でオンリーワンになる事は難しいが30人なら一番に なれる人はたくさんいるはずだ。このような成長感や存在感を感じられないことが、今の高離職率につながっていると考えられる」。自分が成長感と存在感を感 じられる会社を見つけ出す。そのためには私たち自身が自分の成長させたい能力を認識し、どの企業がそれを可能にするかを見極めなければならない。

 

<人間力を鍛える場の創出>

 就職活動において大事にすべきものについてお尋ねした際には、最低限のマナーを守り、日経新聞は読んでいることを前提とした上で、「感謝力を大事にしてほしい。仕事を選ぶことができる状況、各企業が積極的に自社情報を提供してくれる事、2010年採用は苦労するかもしれないが苦労できる事、そういったものに感謝できる人間であってほしい」とおっしゃっていた。

 マナーを守り、知識を吸 収し、感謝することを身につける。こういったことを通じて本当の人間力が鍛えられるのだ、と山近社長はおっしゃる。最近は資格を重視する風潮があるが、そ れとは別に人間力を鍛える必要もあると考えていらっしゃるそうだ。それは「学歴や資格は嘘をつかないが、人間力は人生を保証する」からだ。そのために 「今、人間力を鍛えるための1年制大學を設立しようとしている。日本ベンチャー大學だ」。

 実は今、山近社長は一人 でも多くの学生に、飾らない社会の泥臭さ、厳しさ、現実を見せたいと思い、学生に鞄持ちをさせている。しかし、1日だけの経験では鞄持ちが終わればまた元 に戻ってしまう。そこで、もっと長く教えてやりたいと思い、それを実現するためにこの大學の設立を決意された。

原則男子限定ではあるが、学費は一切必要ない。今、就職活動を1年遅らせ、大学を休学してこの日本ベンチャー大學に来たいと言っているそうだ。「そういう学生がちらほら出始めている」。

 

<今の教育の欠落部分を埋める大學>

 山近社長の想いは、できるだけ多くの学生が人間力を鍛えられる場を作りたい、ということだと思うが、大學を設立して教えることになると場所が限定され、広く多くの学生に伝えることができない。どうして現存する大学にカリキュラムを売り込む、という形を取らなかったのか。

 「1つには『破壊は創造 の親』という言葉がある。もう1つは『既存の枠組みを超えたこのアイデアは既成の中では実践できない』と考えたからだ」。今の大学という仕組み・制約に縛 られない人間が新しい教育システムを作り出す事で既存の教育システムを改善に導けるのではないか、山近社長の中にそういう想いがあった。設立となると多額 の資金が必要になるが、その資金はザメディアジョン1社では補えないため、同じ想いを抱かれているたくさんの企業・経営者の方々に資金を募った。また、教 育現場は他の大学や企業、神社から無償で借り受ける事となった。企業も大学も現状の教育には欠けているものがある、と認識しているのである。

 

<学生視点からの新卒採用アドバイザー>

 今回のインタビューを通 じて山近社長が、私たち学生の未来を心配してくださっている想いが強く伝わってきた。それは、例えば人財マーケティングの営業の話になったときには「営業 は特に北海道や沖縄などの地方にも力を入れている。それは地方の求人倍率が低すぎるからだ」ともおっしゃっていた言葉にも表れている。

 社会は本当は華美じゃな い泥臭い世界なのに企業の良い面ばかり見る機会が多いせいで、なんとなく違和感を覚えながら地に足の着かない浮ついた就職活動になってしまっている人も多 い。学生がこれからの人生の大半をすごす企業で本当に充実した人生を送るために、一番最初のステップで間違うことがないように会社の事実をありのままに伝 えてくれるのはありがたい。そうすることで、学生自身もその会社との相性を自分で認識して面接に臨むことができる。その結果、企業自身も新卒採用で失敗す ることがなくなる。そう山近社長は考えてらっしゃるのだろう。

 そんな風に社会貢献を考えながら事業を行っている人に私は直接会ったことがなかった。この山近社長のような人が経営している企業なら、私たち学生が仕事を通じて人間力を鍛えることのできる「いい会社」の一つなのではないかと感じた。

  ザメディアジョン http://www.mediasion.co.jp/

 日本ベンチャー大學 http://www.919v.com/

 EXE http://www.exe-program.com/

 

                                                  文・K.M

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