○2008年10月25日 
 大山観光グループ   
  坂本 勝章様 

最近1円パチンコというものを目にします。素人目線では利益が下がるのではと思いますが本当のところはどうなっているのでしょうか?

 4円パチンコから1円パチンコになることで、収益に影響がでると思われるでしょうが、
実は価格を下げることにより、お客様が多く来て頂けるようになり、薄利多売が出来ます。

 また、新しい台の導入費用などのコストも削減できます。指向として、遊びたいということなので
CM
で流れているような、新台を急がなくてもよいということです。
 総合すると、薄利多売とお金をかけずに遊びたいというユーザーを獲得し、これまで敬遠していた、顧客の開拓とで、裾野を広げられるので、実際には商売として十分に成り立ちます。

 

−「薄利多売」が新たな顧客層を開拓しているのですね。

 その通りです。 お客様がたくさん来られるということによりにぎわい感が出るのです。
 1円パチンコを導入することで、以前より多くのお客様がご来店くださり、賑わい感が出てより一層お客様に足を運んで頂くということが、戦略として考えられます。
 つまりは、顧客が顧客を呼んで頂けるということです。

 

次にお聞きしたいのが、大山観光さんは店舗ごとの店長の裁量権が強いと伺いました。具体的にどのような力を店長に持たせているのか教えてください。

 具体的に言うと、例えば1円パチンコをするかしないかは、店舗ごとにその店長に任せています。一定の地域ごとにエリア長がいて、店長はエリア長に相談しながら進めて行きます。
 データを集め、分析し収益の計画を立てて、その上で会社の稟議(承諾)を得ることで、実施できます。

 

裁量権があるとやりがいがある半面、失敗したら、と考えると怖いですね

 当然、責任はかかります。失敗は許されないこともあります。そのために、場合によっては、甘い計画性などの場合は、稟議がとおらない場合もあります。ある店長の提案が失敗するとわかっていても実行させたこともあります。
 それは、会社としての許容の範疇ですが、失敗してもなぜ失敗したのかを考え、それを次にどのように活かすのかが後々、成長する上で貴重な経験となってくると判断したからです。その経験が、次世代を支える人材となって行くからです。

 

なるほど。では裁量権以外の大山観光さんの強みをお聞かせいただけますか?

 地域性ですね。もともと 北摂というエリアに特化して展開しているので、地域の情報力については他社には負けません。各店舗が一つの企業のように主体性を持って、よりよくしていこ うという考えを持っていて、大手のような本社主導の経営ではなく、小回りが利き、地域にあった店舗運営ができます。

 場合によっては、突然の人事異動なんてこともあります。弊社全体を考えると有効な手はすぐに打てることも、ひとつの強みになっていると思います。

最後に学生たちにメッセ−ジをお願い致します。

 就職活動をなさっていく上で、是非、後悔の無い選択をしていただきたいと思っております。選んだ企業がどこになるか分かりませんが、精一杯考えて、行動して、自分にとっての一番の選択をしてください。


  ありがとうございました。   

                             Interviewed by 大阪大学 吉井辰朗                                               立命館大学 竹中達矢

 

                  

前回のセミナ−の感想をお聞かせください

 まず面白かったですね。色々な学生の声が聞けてよかったです。
 社内でも、さっそく2010年度の採用スタッフにフィ−ドバックをして、それが今回のパンフレットにもつながっています。

 

新卒採用で工夫をしていることはありますか?

 パンフレットにも書いてあるように、今年はテ−マを「やろうや」に設定し、これには2つの意味があります。1つは「みんなで、一緒にやろうや」という意味で、今いる社員と共に100年企業を目指そうということ。もう1つは「自分でしっかり、やろうや」という意味です。自分の夢を明確にして、それらを実行するために、主体的にやっていこうという意味も含みます。

 また、京セラド−ムなどで行われる合同企業説明会にも出展いたしますが、今年は幹部を呼ばないことにしています。それは、今の若い社員とこれから入ってくる学生が、5年後10年後の会社を動かしているからです。

 

なぜ新卒を取りたいのですか?

 「新卒に選んでくれる会社になりたい」というのが強いですね。
 優秀な人材は、転職者から採用も可能ですが、社会人として、最初の一歩を踏み出す会社というのは人生にとってとても重要だと考えています。

 

正社員と派遣社員の違いは何ですか?

 弊社では、人材派遣会社を使い働いております。
 その比率は派遣社員のほうが多いですが、正社員と派遣社員との一番大きな差は、派遣社員には自己実現の場所が提供されていませんが、正社員には提供されているということです。
 派遣社員だと、結果を出しても責任のある仕事にステップアップしていくことができません。
 しかし、わが社にも9年間派遣社員として働いた後に正社員として雇用された社員がいますし、より大きな仕事をするために正社員になるという道が開かれています。

営業職というのは、実際には誰に対してどのようにおこなっているのですか?

 実は、わが社でいう営業というのは、皆さんが思っているような、企業を回って契約をとるというのではなく、店舗の運営をする社員のことを指します。

 ですので、レストランで言うとホ−ル業務や店長にあたるのが営業職となっています。

 

パチンコという業種ではなく人材にこだわるということは、ひょっとしたら10年後には大山観光さんは業種が変わっているかもしれないということですか?

 そうですね、十分に変わる可能性と思います。企業の使命は存続することだと思っています。
 そのためには、パチンコではなく、他の業種に変化して行くことも、必要であれば選択肢の1つではないでしょうか。まさに、次世代のメンバーが決定して行くことになります。

 また、我社も昔は輸入雑貨やボウリング場、飲食店も運営してまいりましたが、時代の変化と共に、本業であるパチンコに専念すべきと判断し、現在に至っております。

 そしてこれからも、100年企業に向けて企業経営を続けていくにあたって、必要ならば英断して行くことに代わりをありません。

 

                                 Interviewed by   流通科学大学 栢野千春
                京都大学 土本良樹

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