○2009年4月12日 
株式会社堀越精機 
代表取締役 堀越秀昭様 インタビュー 

今回は部品加工・組立などをやられている、大田区の堀越精機株式会社に、中小企業のこと、ものづくりのことを中心に伺ってまいりました。


はじめまして、東京理科大学からきました。阿部と横田です。今日はよろしくお願いします。


堀越精機代表の堀越秀昭です。よろしく。


僕たちは今年の春から就活を始めたばかりなので、まだ、業界や企業を研究して選んでいる段階です。それなので、まだ全然企業のことがわかりません。はじめに、初歩的なことなのですが、大企業と中小企業の大きな違いを教えてください。


中小企業とは、300人以下の会社のことで、日本の99.7%が中小企業です。僕は色々な講演で話すからこんな数字を知っているけど、君たちは知っていましたか?


いえ、今初めて知りました。


まず、大企業に入ると与えられた責任と権限で動く。それなのでどうしても一人のがんばりではどうにもならないことがある。でかい組織の歯車の一つになるんだからね。

それに社長に直談判なんかもできなくなる。

社長に会えるのは年に二回とかで、何かの式典とかでしか会えない。それも「会う」じゃなくて「見える」だけだね。なんたって数万人の一人になってしまうんだから。


中小企業だと、どうなるのですか?


中小企業で本当に小さい会社だと、数人しかいないので会社を個人の技量で動かせる。自分がその会社を支えているからね。社長にだって、毎日会えるし、色々な話ができる。自分がその会社の未来を決めるかもしれない。


同じ業種でも、業務の内容は違うのですか。


違うね。ものづくりの観点でいうと、大企業は深く狭く一部門のことを徹底的にやる。設計は設計の人。プログラムはプログラム。部長は管理。社長はマネジメントと、それぞれのプロフェッショナルになっていくんだよ。しかし、中小企業では、人が少ないので、一人で全部やらなければいけないんだ。よって、それぞれの部門の垣根が少なく、一人、一人がなんでもできるマルチプレーヤになれる。大企業に比べると浅く広くになっていくんだね。部門ごとでも垣根が少なく全体を見渡せるので、問題の出所や解決方法がわかりやすいのも中小企業の利点だね。


なるほど。中小企業だと小回りが効く分一人で色々なことができるのですね。それでは、ものづくり企業と中小企業の魅力を教えてください。


それは、ずばりものをつくることだね。最初から最後まで全部一人でやりとおしたときの達成感は素晴らしいものだよ。工程設計、段取、加工、もプログラムを全部一人でやる。責任は重くなる。だって、失敗したら、全部、自分のせいだからね。しかし、完成したときの喜びは何にもかえられないくらい大きいものだ。なんたって、全部一人でやるからね。


やはり、ものをつくることが一番の魅力なのですね。では、最後に私たちが企業を選ぶにはどうすればいいと思いますか。


うーん。難しい問題だね。得意なことも人によって違うし、長所と短所も裏表のコインみたいなものだからね。それでもやはり、大切なことは何をやりたいかを自分の中で徹底的に考えることだね。よく私が人に話すのは、5年後に花が咲くのは、今の自分の頭の中にある種だけ。とにかく考えて、5年後自分がどうなるか、10年後はどうなのかといった人生プランを考え抜くことが一番必要だと思う。


インタビューを終えて


今回は中小企業と大企業とは一体どう違うものなのかを聞きに行きました。堀越さんは僕たちに今まで知らなかった中小企業の実情をわかりやすく丁寧に語ってくれました。僕は今まで、規模がでかいとか、知名度がある会社などの大企業だけしか目に入っていませんでした。当然自分もそういうところを軸に就職活動をするのだと考えていました。しかし、堀越さんが中小企業ならではの、楽しさを目を輝かせながら話すのを聞いて、

「今までは、中小企業を知らなかっただけで、おもしろい企業は中小企業の中にもある。」と気づきました。これからは大企業だけに限らず色々な会社を訪れて自分の行きたい会社を探したいです。堀越さんどうも貴重なお話をありがとうございました。



東京理科大学理学部

阿部 俊平

横田 壮一郎

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