○2008年9月18日 
 (有)高卒社長 
 代表取締役 進藤慈久様

−私は将来、企業し自分の会社を経営しようと考えています。社長業の先輩として伺いたいのですが、この資本主義社会で成功するにはどのように考え、行動していけば宜しいでしょうか。社長自身の体験を踏まえてお教えください。 

 社会の中には3通りの人が存在し、社会で活躍している順に挙げると、
   「自立して変化する人」、
   「変化するといってしない人」、
   「変化しない人」

がいます。
 この3種類の人間の構成比が一昔前では2:6:2だったのですが、昨今では1:6:3になっていると言われています。これは皆さんが良く耳にする「格差社会」の現れなのです。1割の人だけが、自立型人間として「変化する人」となり、社会のほぼ全ての富の消費・分配し、残りの6割の「変化するといってしない人」3割の「変化しない人」が貧しいままというのが現実です。

 では、どうすれば1割の自立型人間になれるかを考えて見ましょう。実は、我々が自立型人間となるためにすべきことはたった2つの事柄なのです。1つ目が、明確な夢を描き、方向性を定めること、2つ目が定まった方向に対して課題を設け、着実に実践していくことです。

ま ずは夢について考えてみましょう。夢というのは突き詰めれば必ず他者への愛を含んでいるもので、自分にしか興味がない人には持てないものなのです。心の底 からそんな人はいないと思いますが、一方で自分の中にどんな夢・他者への愛があるかを自覚している人は多くありません。それを見つけることは、自分と正面 から向かいあってとことん考えることでのみ見つけることが出来るものですから。

ではそのために何をすればいいのか。それは自分史を書くことです。自分史を書くことで自分の知らなかった一面を発見できます。私も発見できました。

た だし、自分史を書くことは生半可なことではありません。どんな人も触れたくない過去を持っていますから。人によれば、書きながら泣いてしまうこともありま す。見せたくない自分まで含めて完全な本音を知った上で自己分析する必要があります。自分の外側からではなく内側から自分の進むべき方向性を見出すことが 正しい自分史です。

で は、自分史をどう書けばよいかをお教えします。まず、自分史を書くときは精神を集中し、部屋の中でじっくり自己との対話ができる準備をしてください。それ から、過去の自分の「良かったとき」、「悪かったとき」を挙げてみてください。このときポイントになるのはそれぞれの理由と解決策をしっかり考えることで す。また、自分史を書く作業は、自己を客観視することにつながります。自己を客観視できるようになることでコミュニケーションをする場での考え方ががらり と変わってきます。

 次に2つ目の『定まった方向に対して課題を設け、着実に実践していくこと』についての話になりますが、実践することに際して、仕事の出来はスピードにかかっています。仕事の速さが社会では必要とされています。

  では仕事を早くするためにはどうすればいいか。いわゆるできる人は口をそろえてこういいます。「経験があるから。」と。経験とはコツであるともいえます。 出来ることの絶対量は時間が1日24時間しかないのですからそれほど変わりません。ですが、出来る人とそうでない人の差は、歴然です。そうなる理由は注力 の仕方にあります。簡単に言えば、どこで力を入れ、どこで手を抜くかです。

 では、どうやってコツを身につけるか。それはアウトプットによって初めて身につくのです。二週間区切りくらいで期日目標を定めて見てください。また、そのために毎日することを10個ほど定めてルーティン目標とし、これを繰り返してください。確かに地味な作業ですが、明確な夢を定め絶対量をこなしていくと、成功します。これまで歴史上の成功者はほとんどすべてこの作業をしてきました。

これから大学を卒業し、社会人となる上で、このことは非常に意義があります。是非、学生の皆さんにはやって欲しいと思っています。

 

−進藤様が高卒社長の社長として成功してこられた中で様々な出会いがあったと思いますが、その出会いを活かしてこられた秘訣がありましたら教えてください。

「得る=捨てる」ということが分かっていることが大切です。このことを知っている人であれば、話している中でお互いのアンテナに触れることができます。

主体変容という言葉がありますが、実に大切なことで、まず自分を変えることが1番です。Give and take のつもりで接していては、どうしてもtake and takeに陥りがちになってしまいます。それを防ぐためにも、give and giveのつもりで接することが重要となってきます。

この中で「相手のために何が出来るかを常に考えているうちに、相手から様々なことを学んでいる。」ようになれば理想ですね。どうしても、学生の方は就職にあたり、自分へのメリットばかり考えがちですが、自分がどう貢献できるのかも考えてみてください。


−インタビューを終えて

進藤社長は非常に熱く私たちに働きかけてくれて、考え方を改めなければならないと深く感じました。自己との対話はこれからの自分のキャリアを描くためにも有効な手段だと思います。

私たちも実際にやってみましたが、本当に辛いものでした。ですが、その先に見えてくるものは非常に大きいもので、多分に感じるところはあります。皆さんも是非、やってみてはいかがでしょうか。進藤社長、ありがとうございました。

※写真中央が進藤社長

                                            Interviewed by 京都大学法学 川西貴史
                                                                    京都大学教育学臨床心理専攻 竹中綿絵
                                                                    同志社大学社会学部 福 井麻里子                                                                              大阪大学経済学部 吉井辰朗

 


 

 
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